当社は、長きにわたり培ってきたコア技術である優れた材料技術を基にしたキャパシタ、パワーインダクタやトランス、ノイズ対策部品、圧電デバイス、センサなどを開発しています。近年、IoTの基本要素の一つとして注目されているセンサ分野においては、磁性、圧電の材料技術を基にした各種センサデバイスを商品化しております。

その中で、人がいるかいないかを検知する焦電型赤外線センサは、省エネ、利便性向上などの目的で、家電をはじめ様々な電子機器への搭載が増えており、近年ではIoTスマートホーム機器へも市場が拡大しています。

トーキンは、焦電型赤外線センサの用途の広がりによって変化する市場ニーズをいち早くとらえ、低背で表面実装パッケージの焦電赤外線センサを「目立たない人感センサ」として市場に投入してきました。

焦電型赤外線センサ
上段：センサ単体 PL-N823-01, PL-Q873-02 （5.0×4.8×1.7mm）
下段左：レンズレスモジュール SS-430
下段右：レンズ付きモジュール SS-430L-N/W/BK

人感センサアプリケーションの広がりによる新たな要求

焦電型赤外線センサは、圧電セラミックの焦電効果（パイロ効果）を赤外線検出に応用したセンサです。熱源の動きに反応することから 、多くは人感（人体検知）センサとして利用されています。特に近年は、省エネ、利便性向上などの要求に対応するため、人がいるかいないかを検知し、機器の入り切りや動作モードの切り替えなどを行う用途での利用が顕著です。また、焦電型赤外線センサは、低消費電力で回路構成などがシンプルなことも相まって、電池駆動の小型電子機器まで、その需要は高まっています。

近年、電気/電子機器において構成ユニットや部品が小型、薄型で省スペースであることは、機器の大小を問わず必須の要求事項になっています。当然ながら、これは焦電型赤外線センサにも求められております。

また、多くの電気/電子部品が表面実装パッケージで自動実装に対応しており、小型化とともに生産性の向上にも寄与。当然のことながら、焦電型赤外線センサに対しても同様の要求を求める動きも少なくありません。

低背、リフロー可能な表面実装焦電型赤外線センサ：レンズなし、ガラス越しでの検知も可能

トーキンの焦電型赤外線センサは、5.0×4.8×1.7mmという業界トップクラスの小型、低背を達成。当社のコア技術に裏付けされた圧電セラミック材料により、高感度でリフロー可能な表面実装パッケージの焦電型赤外線センサを実現しました。

また、特許取得の独自の素子構造により、他の焦電型赤外線センサでは必須となるレンズを使わなくても赤外線検知を可能にしています。さらに、他の焦電型赤外線センサでは透過検知可能なカバー材は高密度ポリエチレンだけだが、このセンサは赤外線がほぼ透過しないABS樹脂やガラスをカバーにしても検知を可能にしています。これによって、タッチレス（非接触スイッチ）として利用することができ、筐体のデザイン性も向上します。

必要な検知距離、使用方法に応じて、レンズを使うか使わないかを選択することが可能 。レンズを使わない場合は、検知距離は短くなるが、その分サイズは小さくなり、設計の自由度が増します。また、レンズを使うことで、検知距離を約5mまで伸ばすことが可能で、独自技術の小型フラットレンズは、ほぼ死角がない全方位検出に対応します。

非接触検知	近距離検知	中距離検知
10～20cm（筐体材質により検知距離が異なる）	数mの検知距離に制限したい場合	5mの検知距離が必要な場合
レンズ不使用。薄い樹脂またはガラスを介在させても、近距離の手の動きを検知可能（非接触センサ等の用途向け）。センサ窓を隠すことができる。	レンズ不使用。ポリエチレンは赤外線透過率が高いため、数mの距離に制限したい用途に有効。	レンズ装着により、検知距離5mに対応。（小型フラットレンズ設計）

ラインアップは単体とモジュール、レンズ使用/不使用の組み合わせ

この焦電型赤外線センサを基にして、マイコン、プリアンプ、LDOを組み合わせたモジュールを展開。モジュールを提供するのは、設計工数を減らしたい、センサをメイン基板から離れた別所に設置したいなど、様々な市場の要望に応えるためです。ユーザーは、用途、検知距離、実装場所、設計リソースなどの要件によって、センサ単体かモジュール、またはレンズの要否を選択できます。

	検知距離				ご提案
	レンズレス		レンズ付き
	樹脂越し ～ 20cm	～ 2m	～ 5m（ナチュラル） ～ 3.5m（白/黒）
センサ・レンズ単品 センサ（2仕様） レンズ (3色）	PL-N823-01		PL-Q873-02 フラットレンズ PL-001L-N/W/BK （ナチュラル/白/黒）		周辺回路を自作したい メイン基板に実装したい
標準モジュール マイコン搭載 高機能化	レンズレスタイプ SS-431		SS-430L-N （ナチュラル） レンズ付きタイプ SS-430L-W/BK （白/黒）		設計工数を削減したい メイン基板から別基板にてセンサ設置を考えている 周辺回路をコンパクトに設計したい
カバー材	【選択可能】 ABS、アクリル etc. ガラス	【材質限定】 高密度ポリエチレン（HDPE）	【不要】 レンズ（HDPE）

センサ搭載のスマート機器はデザイン性を重視

小型で低背、レンズレスでの使用、樹脂越しの検出など、センサとしての機能を説明してきましたが、近年のニーズとして非常に重要なのがデザイン性の向上です。センサを搭載したスマート機器は、そのデザインにおいてもスマートであるのは必然であります。そこで、ポイントになるのが、センサを目立たないように実装できることです。

従来はセンサの形状やレンズ、カバーの関係で、いかにもセンサを搭載しているといったデザインになりがちであったが、センサが目立たないことで、さりげなくインテリジェンスを表現するなど、よりスマートなデザインが可能になります。

まとめ

・小型、低背、表面実装により、スペース、フォームファクタ要求の厳しい薄型機器での使用が容易
・センサが目立たないことで、デザイン性重視の筐体設計が可能
・モジュールに搭載のマイコンによるデジタルフィルターにより高感度化を実現
・独自技術のレンズ設計により、死角のない全方位検出に対応
・レンズを使用しない検知が可能（他製品はレンズ使用は必須）
・レンズの装着により、検知距離の選択が可能
・センサ単品、レンズ単品、標準モジュールでの対応可能

独自技術に基づく性能面での特徴のみならず、それらが近年重要なデザイン性の向上につながっているのが、大きな特徴となる焦電型赤外線センサです。