AEC-Q200準拠、定格電圧1,000Vの標準品

自動車向けEMC対策コモンモードラインフィルタ「SC-XVシリーズ」

全331仕様、高電圧 xEV、産業機器等、幅広い電力変換アプリケーションのノイズ対策

SC-XVシリーズは、自動車用途のEMC対策用コモンモードラインフィルタです。
標準品として車載規格AEC-Q200準拠、定格電圧1,000V(ACおよびDC)に対応しております。
述べ全331アイテムを取り揃え、この幅広いラインアップにより、お客様はアプリケーションに最適な仕様・特性のコモンモードラインフィルタの選択が可能になります。また、高電圧・高信頼性品を容易に入手することができます。

トーキンのAEC-Q200準拠、定格電圧1,000V
コモンモードラインフィルタ 「SC-XVシリーズ」

写真は最新の独自開発7HTフェライト使用のSCT-XV
標準仕様として縦型(左)と横型(右)を用意

コモンモードラインフィルタ SC-XVシリーズ:AEC-Q200準拠、定格電圧1,000Vの標準品

SC-XVシリーズは、車載規格AEC-Q200を準拠、定格電圧1,000Vに対応したコモンモードラインフィルタです。 SCF/SCR/SCT-XVシリーズは、コアサイズ外径19/25/29/39mmの4種類、形状は縦型・横型の2種類、単相・三相タイプの組み合わせからなるTOTAL 321アイテムを取り揃えております。 デュアルモードコイルSCN-XVシリーズは、コアサイズ外径35mm・形状は高さが異なる2種類の単相タイプでTOTAL 10アイテムを取り揃えております。 この4つのシリーズをSC-XVシリーズとして、TOTAL 331アイテムを取り揃えました。 この豊富なラインナップから、様々なアプリケーションで抑制したいノイズ周波数に応じた最適な仕様の選択が可能です。


シリーズ (コア材質):使用温度範囲
定格インダクタンス範囲 @100kHz
コア外径
(mm)
定格電流
(A)
共通仕様 代表形状
(縦型 / 横型)
SCF-XV (ナノクリスタル):−40℃~+150℃
0.11mH ~ 21.2mH
19/25/29/39 5~50 定格電圧:1,000V AC/DC
AEC-Q200準拠
IATF 16949取得
難燃性:UL94 V-0
(端子台、キャップ)
SCR-XV (フェライト:S15H):−40℃~+120℃
0.056mH ~ 11.8mH
SCT-XV (フェライト:7HT):−40℃~+150℃
0.033mH ~ 6.47mH
SCN-XV (フェライト:7HT):−40℃~+150℃
0.038mH ~ 2.7mH
35 10~19

外形寸法例:SC29XVシリーズ *コア外径29mm(寸法・形状はコア材質に関わらず共通)
JV:縦型(実装面積小)
寸法(mm) ピンピッチ
OD
(最大)
T
(最大)
H
(最大)
L a b
39.0 / 40.5 / 41.5 21.4 37.7 3.5 ±0.5 22.5 13.5
JH:横型(低背)
寸法(mm) ピンピッチ
OD
(最大)
T
(最大)
H
(最大)
L a b
39.0 / 40.5 / 41.5 37.2 21.9 3.5 ±0.5 22.5 28.5

SC-XVシリーズの特徴:3種類のコア材を用いて効果的なノイズ対策を可能に

SC-XVシリーズは、EMC対策において抑制したいノイズの周波数帯域に応じたコア材質を選択できます。主な特徴と基本構造を以下に示します。

シリーズ コア材質 特徴
SCF-XV ナノクリスタル コアにナノクリスタル材を用いたシリーズ。高い透磁率を持ちながら広帯域のノイズ抑制に対応し、高インダクタンス、+150℃高耐熱を実現。
SCR-XV フェライト:S15H 独自開発の高透磁率フェライト:S15Hコアを使用。低周波領域のノイズ抑制に適し、高インダクタンス、+120℃対応。
SCT-XV フェライト:7HT 高キュリー温度、高Bs(飽和磁束密度)特性を特徴とする、独自の新開発フェライト:7HTコアを使用し、+150℃高耐熱を実現。
SCN-XV フェライト:7HT デイファレンシャルモードとコモンモードノイズ抑制の2つの機能を1つのコイルに組み合わせたデュアルモードコイル、+150℃高耐熱を実現。

効果的なノイズ対策のためのコア材質の選択

効果的なノイズ対策のためには、周波数帯域に応じたコア材質のコモンモードラインフィルタを選択することが重要です。コア材質により透磁率が異なり、それによってノイズ抑制に有効な周波数帯域が違うためです。各材質の透磁率とノイズ抑制効果範囲(周波数)の関係イメージを下図に示します。

SCF-XVシリーズのコアに使用されているナノクリスタルは、広帯域にわたるノイズ抑制効果を持ちます。SCR-XVおよびSCT-XVシリーズに使用されているフェライト材は、基本的に透磁率が高いほど低周波帯域のノイズ抑制に有効で、透磁率が低いほど高周波帯域に有効なので、対策するノイズ周波数によって使い分けます。なお、図に示した効果周波数範囲は目安であり、コア形状・サイズ・巻き数により効果周波数範囲は変化します。また、S15Hや7HTといったフェライト材質の名称は、トーキン独自のものです。

加えて選択の際に考慮が必要な特性として、コモンモード電流に対するコモンモードインダクタンスの減衰特性があります。下図は、ナノクリスタルコアのSCF-XV、S15HフェライトコアのSCR-XV、7HTフェライトコアのSCT-XVのコモンモード電流 vs コモンモードインダクタンス特性の例です。

基本特性として、コモンモード電流が増加するとコモンモードインダクタンスが減衰しますが、この例ではコモンモード電流が100mA程になると、ナノクリスタルコア品より初期値が低かったフェライトコア品の方がコモンモードインダクタンスを高く維持しており、最も初期値が低かった7HTフェライトコアが最も優位な特性を示しています。これは7HTフェライトが、高耐熱、高Bs(飽和磁束密度)特性を有していることによります。
このようにコア材質の特徴と使用条件をよく吟味することで、より高いノイズ減衰効果が得られる最適なコモンモードラインフィルタを選択でき、効果的なEMC対策が可能になります。高電圧対応と合わせ、コモンモード電流が大きい車載機器のみならず産業機器、インバータ機器などにも適しております。

EMC対策アプリケーション例

SC-XVシリーズは、前述のように車載規格AEC-Q200に準拠し、近年の高電圧化が進むxEV用途にも対応するため、定格電圧を1,000V AC/DCとした車載用コモンモードラインフィルタです。車載電装品におけるEMC対策要求が高まり必須となっている状況において、車載用として幅広いラインアップの標準品は非常に有用です。

主なアプリケーションとしては、ESP、DC/DCコンバータ/ヒートポンプシステム/車載充電器などが挙げられます。また、車載機器同様に、過酷な環境で要求の厳しい産業機器の電力変換アプリケーションにも適しています。以下に車載EMC対策のアプリケーション例を示します。


アプリケーション 使用する場所 適するシリーズ
12Vや48VDCなどの低圧バッテリに接続される、電動パワーステアリング用モータノイズ対策
入力側 SCT-XV、SCN-XV
400V/800V系の高圧バッテリから12V/48V系の低圧バッテリに変換するDC/DCコンバータノイズ対策
入力側 SCF-XV、SCR-XV、SCT-XV、SCN-XV
Heat Pump Systemのインバーターノイズ低減
入力側 SCF-XV、SCR-XV、SCT-XV、SCN-XV
xEVのOn board chargerの商用電源入力側、DCバッテリ出力側のフィルタリング用
入力側
出力側
SCF-XV、SCR-XV、SCT-XV、SCN-XV

実際の使用においては、抑制が必要なノイズの特性確認、効果が期待できる仕様品の選択、そして実機での検証が必要となります。また、上記に関わらず、コモンモードラインフィルタは基本的にほとんどの電力変換アプリケーションに利用可能ですので、その応用範囲はさらに広がると考えられます。

まとめ

SC-XVシリーズは、トーキンが注力する車載分野に向けたEMC対策用コモンモードラインフィルタです。
業界に先駆けて車載規格AEC-Q200準拠、自動車用バッテリーの高電圧要件を満たすために定格電圧1,000Vを対応した全331仕様の豊富なラインアップを取り揃えたことで、様々なアプリケーションで抑制したいノイズ周波数に応じた最適な仕様の選択が可能です。
また、車載機器同様に、過酷な環境で要求の厳しい産業機器の電力変換アプリケーションにも適しています。




関連動画

製品紹介ビデオ:AEC-Q200準拠・定格電圧1000V対応コモンモードチョーク「SC-XVシリーズ」

SC-XVシリーズ フィルタ回路減衰量特性シミュレーション

<シミュレーション概要>
電子機器設計サポートを目的とした最大6次フィルタまで算出可能なフィルタ回路減衰量特性シミュレーションを提供致します。

<シミュレーションの操作方法>
こちらの 操作方法(PDF) をご参照下さい。