今日、日々の暮らしの中に積極的にテクノロジーを取り込んでいこうという消費者動向が見られます。これにより、タブレットやスマートフォンを通じ、あらゆる場所でネットや個人とつながり、仕事や遊ぶことが可能となり、家庭や職場では、ネットワークに接続された様々な製品が、私たちの身の回りに真のオートメーションをもたらしつつあります。
一方、テクノロジー革新の進行と「より新しく、より高い意識を持とう」という消費者心理が合致すると、多くの人々が重要なデバイスを頻繁に買い替えるようになります。結果として、テクノロジーの革新と共に消費者およびデバイスメーカーが抱く期待も高まり、さらなる高機能、小型化、長時間駆動、より速い操作、そして低価格が要求されるようになります。

高品質と入手しやすさを両立

こうした要求に応えるためには、ひときわ高い信頼性と供給能力を兼ね備えたサプライヤーが必要となります。トーキンの新しい製品ラインナップ、METCOMは、当社がコンデンサを通してご提供中の高品質なサポートと同等のクオリティで、スイッチング・レギュレータの設計を支援します。

METCOMパワーインダクタの特長である金属複合粉末コアは、電流変動に対応できる高い飽和特性を備え、バックコンバータにおいて発生する大きなリップル電流の存在下での使用が可能です。さらに、このコア材料の高い透磁率によって直流抵抗は低く抑えられており、METCOMインダクタをDC/DCコンバータの出力側に使用することで、システム損失を大幅に低減することができます。電源設計に際し、より少ない損失での駆動を実現するため、半導体とパワーインダクタはDC/DCコンバータの心臓部で極めて大きな役割を果たしています。トーキンのMETCOMシリーズは、高いスイッチング周波数が要求され、かつ、広い温度範囲で大きなリップル電流が存在するという条件での半導体設計を可能にします。METCOMシリーズのメタルコンポジットインダクタは、最大1MHzのスイッチング周波数、ならびに最大35.4Aの定格電流に対応しています。

マイクロコントローラおよびプロセッサに電源供給するために入力電圧を降圧する際、多くの場合、「バック」方式のコンバータが採用されています。このようなバックコンバータにMETCOM MPXシリーズを採用することで、出力側インダクタが電力を蓄えることを促進できる、という利点があります。さらに、KEMETのKO-CAPポリマーコンデンサとMLCCを組み合わせることで、出力電圧の平滑化を行い、低リップル化した電圧を得ることができます。このようにして、リップル電流、リップル電圧、入力コンデンサ、および出力コンデンサの間で抑制と均衡を保つことが設計全体に不可欠であり、これは電源品質の向上のみならず、安全機関の実施するEMC試験を支援する観点からも重要といえるでしょう。

高効率な設計の利点

DC/DCコンバータは長年にわたって性能が向上され続けてきており、様々な用途の電源に応じたDC/DCコンバータが開発されてきました。なかでも、バックコンバータおよびブーストコンバータは、 その単純さと信頼性により、設計者から大きな支持を得ています。これら2種類のコンバータは回路構成によく用いられる一方、METCOMパワーインダクタを組み込んだ設計を行う際には、検討を要する点があります。つまり、METCOMMPXシリーズには以下のような特長があります。

  • 高いスイッチング周波数
  • 高い飽和電流特性
  • 高温環境下で使用可能

これらの特長を生かすためには、回路設計時には以下の技術的課題を意識し、EMI規格に適合した回路を構成する必要があります。

  • 電流ループ
  • 部品配置
  • リップル電圧
  • 入力側コンデンサの選定
  • アイソレーション

電流ループ

設計上のEMI課題について検討する際、頻繁に直面する懸案事項がdi/dtです。電流変化を発生させている部品をつきとめ、設計への影響を最小限にするにはどうすればよいか、解決法を探らなくてはいけません。METCOMインダクタを組み込む際は、インダクタに流れる電流の波形と、それがどこから来ているかを確認し、その電流をどこに戻す必要があるのかを把握する必要があります。

例えば、バックコンバータでは電流変化(d)に対しては入力側、出力側コンデンサがエネルギーを供給することで入力電源のリップル電流を低く抑えています。部品を配置する際には、ある部品を発生源とする電流が最短のリターン経路でその部品に戻るようにし、電流ループが最小限となるように電流経路を考慮する必要があります。前述の入力側および出力側の部品から出た高周波電流はそれらの部品に戻さなくてはならず、ゆえに、半導体、インダクタ、およびコンデンサはできるだけ接近させて配置させることが求められます。リターンパスを適切に設計するため、リターン電流のグランドは特に注意して最適な配置とすることが必要です。

部品配置

部品配置をより良く行うために、構成設計、および電流がどのように流れるかについての理解を深めることが重要です。METCOMパワーインダクタを用いた設計を行う際、コンデンサがシステム全体の要となります。KO-CAPポリマーキャパシタの持つ高いエネルギー特性、およびMLCCの持つ低いESRはDC/DCコンバータ設計に大きく貢献します。これら2つのテクノロジーを組み合わせることで、コンデンサの所要数量を最小限に抑えながら、リップル電圧抑制にも役立ちます。電流ループを最小化するため、インダクタを意識したキャパシタ―配置を行うことは、信頼性を備えた設計のための第一歩と言えるでしょう。部品の選択が完了すれば、入力電力のトレースの設計を開始できます。その際、導線のインダクタンスが入力側コンデンサのESRを上回るようにし、スイッチング周波数において、入力側コンデンサがメインのエネルギー源となるよう設計することが重要です。

リップル電圧

EMIについて検討するとき、一見すると、電流こそが最優先事項と受け取られがちです。しかし、設計上ある程度のリップル電圧を許容させることはできても、高すぎるリップル電圧は、導線の延長上でEMI問題を引き起こすことがあります。METCOMパワーインダクタを通り抜ける電流のもつ交流成分は、出力側コンデンサに流れ込みます。この時、出力コンデンサの合計ESRがリップル電流に影響を及ぼします。リップル電圧とは、コンデンサに流れ込む電流とコンデンサのESRの関係によって電圧が発生するという、オームの法則に導かれる自然な反応です。ESRが低いほど、発生するリプル電圧も低くなります。

入力側コンデンサの選定

入力側コンデンサとEMIについて検討する際、入力側コンデンサの適切な選定については見逃されがちです。入力側コンデンサのインピーダンスネットワークは低く抑えられている必要があります。KEMETのKO-CAPポリマーコンデンサシリーズには、高いエネルギー容量と高いリップル電流定格を備えた低ESRモデルのご用意があります。
高い信頼性をもった設計のためには、目標の周波数帯域で低いESRを得るため、積層セラミックコンデンサを追加することも考えられます。入力側コンデンサを選定する際には、出力負荷電流は入力側のリップル電圧に直接の関係があることを考慮する必要があります。初期設計のおける難しさのひとつに、過渡現象での電流の値をどう設定するかがありますが、この段階でどう設定するかが、信頼性の高い設計を実現するための、入力電圧および大容量コンデンサの容量に直接の影響を及ぼします。

アイソレーション

ここまでご説明した内容は、スイッチング電源において頻発する伝導ノイズへの対策についてでしたが、高密度実装された回路設計においては輻射ノイズが他のノイズとカップリングするという問題があります。トーキンでは、輻射ノイズを吸収して熱として放出する、フェライトに類似したデバイスもご提供しています。たとえば、当社のバスタレイドシリーズは、不要なノイズカップリングから他の回路を遮蔽し、設計作業を支援します。

DC/DCコンバータとは目新しいテクノロジーではありませんが、それでも、設計ごとに新たな課題が立ちはだかっています。METCOMパワーインダクタは、当社のコンデンサと共にソリューションをご提供します。

より詳しいご説明は下記ページを参照ください。


www.kemet.com/METCOM (英語)


www.tokin.com/products/emc-inductor/powerinductor/metcom(日本語)